KEEP OUT!!
「え? わっ、ちょっ!?」
わたしのハチマキとアンカーのタスキを奪い取って屈伸を始めた亮平。
「アンタ、何やって──」
「この貸しはデカイからな?」
わたしの混乱をよそに、同じようにビックリしていた走者のバトンをひったくるようにして受けた亮平は物凄い勢いで走り出したのだ。
突然の出来事に校庭中からどよめきと歓声が上がる。
けれど亮平は気にするどころかバトンを持った手を振り回してそれに応えるようにして走った。
ブーイングどころか拍手が巻き起こり、皆の興奮は一気に最高潮へ。
結局亮平は後続を大いに引き離して(相手は女子なのだから当然だけれども)男子のアンカーにバトンタッチ。
息を切らせて戻ってきた。
わたしはなんだか呆けてしまって、
「あ、ありがと……」
それだけしかいえなくて。
そんなわたしに、
「ソーダバー2本な」
アイツはいつものようにニヤリ、と笑みを浮かべていったのだった。