KEEP OUT!!

 その後、八重ちゃんがすごく興奮した様子でいってたっけ。

「すごいすごいすごい! 亮平くんスゴい!! スッゴいかっこよかったよ~!」

「あははっ。ヒーローみたいだった?」

「うん! 亮平くんはヒーローだよ!!」

「へへっ。ほいっ、紗智、ハチマキ」

「あ、うん……」

 八重ちゃんは頬が真っ赤で。

 亮平は体操着のそでで汗をぐいっ、と拭ってて。

 わたしは、そんなふたりを眺めながら「あ~膝がなんだかズキズキするなぁ」なんてぼんやり考えてた。

 そして、

(男の子ってズルいなぁ)

 と、そんなことを特に意味もなく思った。

 少なくともそのときのわたしは八重ちゃんみたく「カッコいい」という想いはわいていなかった。

 ただ、どことなく自分とはちょっぴりずれた世界の出来事のようで。

 今になって思い出すと、八重ちゃんの気持ちがよくわかる。

 アイツはいざというとき、ひねくれた態度をとりつつ、ちょっとだけめんどくさそうにしながら、わたしたちを助けてくれていた。

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