KEEP OUT!!
朝のホームルームが終わり、いつものように教室がにぎわしくなる。
けれどわたしの気分は重いまま。
少し、皆の声が、ウルサイ。
(やだな……こんなの……)
そんなことを考えてしまう自分はよけいに鬱陶(うっとう)しい。
あぁなんだか本当に悪循環だ。
机に伏していると、段々と気が滅入ってくる。
かといって、今この明るい輪に入るのは、苦痛。
というか、無理。
じくじくとすすけた感情が背中から覆い被さってきて、もし机がなかったらきっとわたしは力なく床に寝そべっていたことだろう。
と、
「紗智ちゃん、大丈夫?」
八重ちゃんの心配そうな声。
「う、ん……」
そのやさしい親友の声に、わたしは──顔を上げることが出来なかった。
肩がぴくんっ、と跳ねたのが自分でもわかる。
別に後ろめたいことをしてもされても“まだ”ない。
けれど、彼女の顔をみる度胸が今のわたしにはなかった。
「つらいなら保健室にいく?」
一向に身体を起こそうとしないわたしに八重ちゃんはそういってくれたけど、逆に今はその気遣いが胸に痛くてしかたない。
「大丈夫。ちょっと寝不足なだけだから」
「そう? つらかったらいってね?」
いえるわけがない。
この苦しさの理由なんて彼女にいえるわけが、ない。
ゆっくりと遠ざかる足音に耳を澄ませながら、わたしはきつく、唇を噛んだ。