KEEP OUT!!

 昨日の夕方まではあんなにもハッピーな気分だったのに。

 段々と腹立たしくすらなってくる。

 でも、きっとこれは誰のせいでもなくって。

 あのときの亮平の真意がなんだったのかは関係ないのだ。

 ただ、わたしがわたしに芽生えた気持ちに気付いてしまったのが理由。

 だからどこにもこの腹立たしさをぶつける所なんてない。

 泥沼。

 空から落ちて身を沈めたその場所は海なんかじゃない。

 あがいてもあがいても前にも後ろにも進めない、暗く深い泥の沼だったのだ。

 やがてはあがくことも出来ずに、思考すら停滞して、気付いたときには悲鳴を上げることさえ出来なくなっている。

 八重ちゃんに気付かれるわけにもいかないから泣くことも出来ない。

 これが“恋”?

 こんな苦しみしか感じないものが“恋”なの?

 だとするなら──


< 50 / 222 >

この作品をシェア

pagetop