KEEP OUT!!

 今回はいつにも増して、どうにも“重い”。

「う~今日は無理……」

「あらあら珍しいわねぇ。じゃあ学校には電話しておくから」

「うん……」

「夕方までひとりで大丈夫?」

「ん~。たぶん」

「じゃ、お母さんパートに出るわね」

「はぁい。いってらっしゃい」

 ぱたり、というドアの音を聞いた後、わたしは下腹部をさすりながら天井を仰いだ。

 少ししっとりとした空気のせいか、いつもより身体がベッドに沈んでいるような気がする。

 耳を澄ませば屋根を打つ雨音。

 それは絶え間なく鳴り続いていたけれど、他の小さな雑音を吸い込んでくれているせいか、むしろ部屋を静寂で包んだ。

「いたたたた……」

 これだから女の子の身体は面倒だ。

「いっそ、男ならよかったのにな……」

 そうすればこんなに悩まなくて済んだのに、と考えても意味のないことをつぶやく。

 風邪を引いたわけでもないのに、ね。

 こんなにわたしって、弱かったんだ。

 まゆねぇと別れて家に着くまで、その後もずっと、考えていた。

 どうすればいいのかな、と。

 でも、いい答えなんてみつからなくて。

「八重ちゃんたち、心配してるかな……」

 携帯をぱくんっ、と開いてみる。

 メールボックスに新着は今のところ0件。

 そろそろホームルームかな。

 そういえば亮平、今日もこなかったな。

「避けられてたりして」

 いって、急に哀しくなってきた。

 そんなヤツじゃないことくらい、わかってるのに。

 どんな理由があったとしても、アイツはそんなことはしない。

 その確信が、“今までなら”あった。

 でも、

「“あんなこと”した後だもん。やっぱり顔を合わせにくいっていうのはあるのかな……」

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