KEEP OUT!!
いつまでもこの形が続くなんて幻想を抱いてたわけじゃない。
けれど、少なくとも、まだもうちょっと先のことだと思ってた。
それをわたしは今から、自分の手で壊そうとしている。
まだほんの小さなほころびでしかない。
目を逸らせば平穏であるはずの、この関係。
八重ちゃんがいて。
亮平がいて。
わたしがいる。
やさしい、時間。
「紗智、ちゃん?」
昨日わたしが倒れ込んでいた公園。
その同じベンチに八重ちゃんはいた。
それは偶然なんかじゃなくって、わたし自身がさっきメールで呼び出したからだ。
すっ、と立ち上がった八重ちゃんは眼鏡の奥の瞳を不安気に揺らしながらも、駆け寄ろうとまではしない。
わたしは今、どんな表情をしているだろう。
数歩手前で立ち止まり、軽く息を吸い込む。
覚悟を、決めなきゃ。
たとえこの数分後にわたしたちの関係が崩れ去っているとしても。
それでも──わたしは1歩進み出なきゃいけない。
罪だとしても──
後悔しかないとしても──
結果が予測出来ないとしても──