本庁
第1章
1
「こちら新宿中央署。管轄区内で事件発生。警視庁の捜査一課各班に至急臨場(りんじょう)願いたい。繰り返す。……」
携帯無線機で新宿中央署刑事課警部補の山口猛(たけし)が本庁――警察官内では本店と呼ばれるが――に連絡を入れた。
無線機向こうで、
――了解。
という声が聞こえ、新宿中央署の警官たちが本格的な捜査を開始する。
ここは新宿でも北側にある閑静な場所で、夜は通り掛かる人間が極めて少ない。
新宿北署と境界を接する場所で、何かと縄張り意識が煩(うるさ)い所轄署間でも、熾烈(しれつ)な争いが始まっていた。
「山さん」
「おう、紳ちゃん」
「この死体遺棄のヤマ、どう見る?」
「どう見るもこう見るも、れっきとした殺しでしょ」
「こちら新宿中央署。管轄区内で事件発生。警視庁の捜査一課各班に至急臨場(りんじょう)願いたい。繰り返す。……」
携帯無線機で新宿中央署刑事課警部補の山口猛(たけし)が本庁――警察官内では本店と呼ばれるが――に連絡を入れた。
無線機向こうで、
――了解。
という声が聞こえ、新宿中央署の警官たちが本格的な捜査を開始する。
ここは新宿でも北側にある閑静な場所で、夜は通り掛かる人間が極めて少ない。
新宿北署と境界を接する場所で、何かと縄張り意識が煩(うるさ)い所轄署間でも、熾烈(しれつ)な争いが始まっていた。
「山さん」
「おう、紳ちゃん」
「この死体遺棄のヤマ、どう見る?」
「どう見るもこう見るも、れっきとした殺しでしょ」