本庁
 と言い、フゥーと吐息を漏らす。


 山口や安川は会議終了後、会議室を出て、外へと向かう。


 すると会議の一部始終を見ていた、犯罪心理分析官――通称プロファイラー――の佐田美和子が、


「山さんも紳ちゃんも大変ね」


 と言ってきた。


 美和子はいつも新宿中央署の一階でパソコンのキーを叩きながら、刑事相手に情報を伝達するのが仕事なのである。


「ホシは北新宿をとっくに出て、池袋辺りにいると思うわ」


「何か根拠でもあるのかい?」


「実はね、あたしコンピューターで昨夜北新宿近辺に停まってた車両を残らずチェックしてみたの。そしたら、目白ナンバーのワゴンが一台あったわ」


「目白ナンバー?ワゴン?」


「ええ。いかにも殺人犯が使いそうな怪しい車よ。ナンバープレートだけは外すと違反になるし、黒く塗ったりするのもアウトだから分かったの」

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