本庁
 父親を天へと送り出したところで、彼女が警察に対し最大にして最後の復讐をすることを。
 

 後で聞いて知ったのだが、新宿中央署の拳銃保管庫から美和子の拳銃だけがなくなっていたらしい。


 弾をフルに装填した状態で、だ。


 山口はこう考えていた。


「ピーズファイルのコピーを海に投げて証拠隠滅した後、自分も自決を図るんじゃ?」


 一刻も早く山口たちは江ノ島に着くため、一般道ではなく高速道路を西へとひた走る。


 美和子にとって、オートマは亡き父の後追いをするだけの代物に過ぎなかったからだ。


 自決だけは避けないといけない。


 美和子が全てを闇へ葬り去ろうとしている以上……。

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