本庁
 取り出して正眼に構える。


 しばらく――そう十五分もの間だったろうか――、山口たち捜索隊と美和子が銃を構えたまま、じっと対面していた。


 夏の江ノ島は暑く、山口も安川も酷暑で疲れが出てきつつある。


 だが、先に投降したのは美和子の方だった。


 彼女は銃をその場に置き、改めて山口たちと話をする。


 ちょうど四メートル弱ぐらいの距離なので、十分話が出来た。


「君が全ての事件を仕組んだんだな?」


「……」


「自分にとって都合の悪い高城和哉氏を吉田栄輔たちに殺害させ、更にコンピューターを使い、北への積荷事件の幇助を行った。そしてピーズファイルを署の誰よりも早く手に入れ、それを元手に警察社会に対し復讐を企てた。違うか?」


「……」


「オヤジさんが爆弾を詰まれたトラックに誘導されて爆死したのを俺も見てる。君はまだ若かった。君は入庁時にすでに、死んだオヤジさんを見殺しにした警察に復讐を誓ってた
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