本庁
 美和子もその判決を聞いて、安堵しているようだった。


 もう二度と警察社会には入らないという思いで。


 彼女が企てていた自分の実父建作の仇を打つということはもう出来ない。


 それに美和子は恩赦(おんしゃ)や特赦(とくしゃ)などがあれば、無期懲役でも刑務所から出てこられるが、二度と警察には関わらないつもりでいるようだった。


 裁判を傍聴していた山口が廷吏から両脇を固められて、裁判所から出ていく際に一言、


「……生きて償え」


 と言った。


 美和子が黙ったまま一礼して、頷く。


 これで全ての事件が終わった。


 だが、後日美和子が所持していたピーズファイルのデータが公表され、世間は大騒ぎとなる。 


 昔、警察官たちが九十億に亘る裏金を使い込んでいたことがバレ、マスコミは連日その報道で賑わった。
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