本庁
 出されたお茶を飲みながら。


 そして小一時間話すと、施設内は夕食になり、山口も安川も、


「では失礼します」


「失礼いたします」


 と各々言って、フロア出入り口に向け歩き出した。


 河東はまだボケていなかった。


 老人でも昔自分が血の気がある頃にやった仕事は今でも鮮明に覚えているのだ。


 記憶の中で風化させずに。


 山口たちはその夜、新宿の飲み屋に酒を飲みに行った。


 一仕事終わった後だからか、疲れが出ている。


 だが、山口も安川も適度なアルコールと休養で疲労を取ってしまって、また新たな一日を迎えるのが常だ。


 時間が解決してくれることもある。

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