本庁
「車体は?」


「そうね。縦が二メートル弱、横が半分の一メートルぐらい」


「その車の映像とか残ってない?」


「あ、あるわよ。ちゃんとカメラ作動してたから」


 美和子がそう言い、手元のパソコンのキーを叩いて文字列を入力し、エンターキーを押す。


 するとディスプレイ上に、いかにも怪しげな黒いワゴン車が映った。


「このワゴンぐらいなものね。犯行時間帯前後に現場付近で目撃されてるのは」


「このワゴンの追跡調査は出来る?」


「ええ。一応ブラックリストに入れてるから、池袋近辺で行われてる検問には引っ掛かると思うわ」


「じゃあ、引き続きこの車両を追って」


「分かった。二人とも暑さでバテないように頑張ってね」


 美和子がそう言って頷き、引き続きキーを叩き続けながら、別の事件の捜査も続行した。

< 11 / 110 >

この作品をシェア

pagetop