本庁

　今回の高城和哉氏殺害事件と直接的な繋がりはないものの、その積荷摘発の一件で警察内部はピリピリしていた。


「確か、高城氏の運営してた商社＜Ｔ＆Ｋコマース＞も芝浦に輸出基地持ってたよな？」

　山口が不意にそう問うと、安川が、


「山さん、何か確証でも？」


　と言ってきた。


「いや。別にいいんだけど、害者がなぜ北新宿で刺されなきゃいけなかったのか、不思議でね」


「誰かに呼び出されたんだよ。今、鑑識が精査してる毛髪の持ち主とかに」


「うーん。そうなってくると、その人間の口を封じる奴がいるはずだ。何せ、あのパチンコ王国に資金を送り届ける連中だからな。必ず何か裏があるはずだよ」


「ひとまず我々刑事課は高城氏殺害のヤマを追おう」


「そうだね。そっちの方が賢明だね」


　山口が安川の言葉に頷き、署からパトカーに乗り込んで現場へと向かった。