本庁
 もちろん覆面で、回転灯を灯せば、警察の車両になる。


 運転席には山口が座り、助手席に安川が座って発進した。


 暑い季節で額から汗が零れ落ちる。


 運転中の山口の無線に突如連絡が入った。


「こちら警視庁鑑識班。山口警部補、応答願う」


 ――こちら山口。一体何です?


「ただ今、高城氏の右腕に握られていた毛髪の主が判明」


 ――誰だったんですか?


「新宿区在住の吉田栄輔の毛髪と確認。詳細は署の捜査本部にて」


 ――了解。


 無線を切った後、山口が、


「やっぱし高城氏殺害の実行犯は在日朝鮮人だ。吉田って向こうの奴らが帰化するときに付ける名前だからな」


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