本庁
 しばらくして、もう一度無線機が鳴り始めた。


「池袋南署から緊急入電。ワゴンを運転していたのは、都内在住の斉藤貴之、南原誠一郎、そして飯田克広と判明。ただ今、任意で事情聴取中」


 ――こちら、新宿中央署刑事課山口。マル被と思われる人物はいるのか?応答願いたい。


「斉藤と南原は捜査員の調べに対し、高城氏殺害の容疑を全面否認。今現在飯田の供述を聴取中」


 ――了解。


 山口は無線の子機を親機に差し込んだ後、


「斉藤と南原が怪しいな。吉田に悪用されている可能性が高い」


 と言い、思わずフゥーと吐息を漏らす。


「事件は二転三転するのかな?」


「ああ。紳ちゃんが考えている以上に、事件は難しくなるよ」


「じゃあ、池袋に着いたワゴンの検問結果を待って、我々も取り調べに合流しよう」


「そうだね。その方が穏便かなと」

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