本庁
ネタだ。


　必ずどこかに多額の金があるはずで、今まだその全容が解明されていない。


　警察も裏金があったなどという事実が世間に公表されると、何かとまずいのだ。
　

　だから、巧妙なまでに犯罪紛いの隠蔽工作を図る。


　河東さんが最後にデータを入力したパソコンは本庁か察庁のどこかに存在するはずだった。


　たとえマシーン自体は廃棄されたにしても、データだけは残っているかもしれない。


　山口はいずれ、あの河東さんさえ暴けなかった闇を暴こうと思っていた。


　今回の高城氏殺害事件に公安が動いたとなると、高城氏はその手の人間たち――つまり在日外国人たちだが――と接触があり、トラブルもあって、消されたのかもしれないと思いながら……。


　山口運転のパトカーが豊島区に入って最初の検問所に辿り着いた。


　通行証を翳(かざ)した山口が、


「例の車、どうなったんだ？」


< 20 / 110 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop