本庁
 ――今どこにいるの?


「私用車で通勤中で、西新宿にいます」


 ――いつ頃、署に着く?


「そうですね……この渋滞だと、九時前ぐらいかと」


 ――じゃあ、ギリギリ出勤時間に間に合うんだね?


「ええ。山さんも通勤中なんでしょう?」


 ――ああ。俺は今から都心方面の地下鉄に乗るよ。多分、八時半ぐらいには署に着くだろうと思う。


「だったら、署で合流ですね?」


 ――うん、そうだな。紳ちゃんも運転気を付けろよ。


「はい。ではまた後ほど」


 安川がケータイを切ると、ツーツーツーツーという音が聞こえてきたので、パタンとフリップを閉じた。


 山口が自宅に一番近い駅まで歩いていき、改札口で定期を通して、ホームへと入る。
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