本庁
「山さん」
「何だい?」
「そのピーズファイルを作った河東勇太郎元巡査部長は、何かを掴んでたんだろうね」
「ああ。俺もそう思う」
「当時の警察庁のキャリア組って言ったら、あの大石渉さんだよね?」
「うん。あの当時、警察の中枢は腐ってたもんな。大石もやりたい放題だったし」
山口がまだ今の警部補より二階級低い、全くのヒラの巡査だった時代に、河東さんがあのファイルの存在を暴いたのだった。
大石渉はすでに亡くなっていて、この世にいないのだが、あの時代、つまり今から十年ちょっとほど前は、警察上層部の横暴が最盛期だったのだ。
飲み会一つにしても、赤坂か日本橋の高級料亭を使うなど、上の人間たちはタガが外れたような金銭感覚でいた。
ピーズファイルには警察社会で自由に使える金の使途が克明に記されていて、おそらく河東はそれを不正だと踏み、詳細を旧型のコンピューターに打ち込んでいたものと思われる。
「何だい?」
「そのピーズファイルを作った河東勇太郎元巡査部長は、何かを掴んでたんだろうね」
「ああ。俺もそう思う」
「当時の警察庁のキャリア組って言ったら、あの大石渉さんだよね?」
「うん。あの当時、警察の中枢は腐ってたもんな。大石もやりたい放題だったし」
山口がまだ今の警部補より二階級低い、全くのヒラの巡査だった時代に、河東さんがあのファイルの存在を暴いたのだった。
大石渉はすでに亡くなっていて、この世にいないのだが、あの時代、つまり今から十年ちょっとほど前は、警察上層部の横暴が最盛期だったのだ。
飲み会一つにしても、赤坂か日本橋の高級料亭を使うなど、上の人間たちはタガが外れたような金銭感覚でいた。
ピーズファイルには警察社会で自由に使える金の使途が克明に記されていて、おそらく河東はそれを不正だと踏み、詳細を旧型のコンピューターに打ち込んでいたものと思われる。