本庁
「うん。俺はそれを一度閲覧してみたい。一体昔霞ヶ関で一昔前どんなことが行われていたかの記録にもなってるからな」
「私が要請しましょうか?」
「行為はありがたいんだが、所轄署の一巡査部長の君の力じゃ、おそらくファイルを奪うのは難しいと思う」
「では、どうするんですか?」
「実はね、俺の知り合いで、今本庁に勤務してる筧(かけい)という警視がいるんだ。椛田警部補の上司でね」
「ああ、知ってます。筧さんはもうすぐ退職ですよね?」
「あの男はやり手だったし、準キャリであそこまで上り詰めた男だからな」
山口は筧康孝と懇意にしていた。
筧は都内にある中堅私大を卒業後、国家公務員第Ⅱ種試験に合格して、警察畑で順調に出世し、今は本庁の警視にまでなっているのだ。
山口は筧のことを康孝という名前だからか、<やっちゃん>と呼んでいたし、筧は山口のことを<山さん>と呼んでいた。
「私が要請しましょうか?」
「行為はありがたいんだが、所轄署の一巡査部長の君の力じゃ、おそらくファイルを奪うのは難しいと思う」
「では、どうするんですか?」
「実はね、俺の知り合いで、今本庁に勤務してる筧(かけい)という警視がいるんだ。椛田警部補の上司でね」
「ああ、知ってます。筧さんはもうすぐ退職ですよね?」
「あの男はやり手だったし、準キャリであそこまで上り詰めた男だからな」
山口は筧康孝と懇意にしていた。
筧は都内にある中堅私大を卒業後、国家公務員第Ⅱ種試験に合格して、警察畑で順調に出世し、今は本庁の警視にまでなっているのだ。
山口は筧のことを康孝という名前だからか、<やっちゃん>と呼んでいたし、筧は山口のことを<山さん>と呼んでいた。