本庁
「じゃあ、少し飛ばすね」


「分かった」


 アスファルトの道路には、太陽から反射された暑さが未だ残っていて、辺り一帯の蒸すような熱を感じ取りながら、山口たちは署へと急行する。
 

 同乗していた安川は、山口がハンドルを握り続けるのをじっと見ている。


 あのピーズファイルと銘打たれたファイルの中身は一体……?


 山口は年甲斐もなく緊張しているのを感じ取った。


 おそらく運転席の安川も同じだろうと思われる。


 車は新宿中央署へと向かった。


 途中の道路で渋滞に引っ掛かりながらも、車両は進み続ける。


 署の駐車場まで確実に。


 そして車を出た山口と安川は刑事課へと急行した。




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