本庁
「ああ。あのファイルを見れば、警察内部に不正にプールされた裏金の使途が分かるはずだ」


「私で出来ることがあれば、何でもお手伝いいたしますので」


「行為はありがたいんだけど、君はあくまで裏警察だろ?あまり表にしゃしゃり出てくると、まずいと思う」


 山口がそう言って、那珂川に一言釘を刺す。


 那珂川も頷き、


「分かりました。情報提供ルートはあくまで極秘にいたしましょう」


 と言った。


「山口君」


 不意に後ろから呼ぶ声が聞こえてくる。


 山口が振り向くと、警視で管理官職を兼ねている香川憲正がいて、


「吉田栄輔の身柄はまだ確保できてないのか?」


 と言ってきた。
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