本庁
「ええ。……ですが、おそらく事件は解決に向かうかと」


 山口が半分口から出任せにそう言う。


「……責任を持ってやってくれよ」


 香川が呟くようにしてそう懇願すると、その様子をじっと聞き耳を立てて聞いている人間が一人いた。


 そう、プロファイラーの美和子だ。


 カツカツカツとキーを叩き、表面上は何もないようにして、美和子は息を潜めるようにしている。


 まるで警察の捜査の犠牲となった父親の佐田建作の恨みを晴らすかのように、美和子は平静を装いながらも、コンピューター経由で入手した例のピーズファイルを閲覧しているようだった。


 山口がふっと思う。


“やはり美和子が内通者で、一連の事件を主導してるのか……?”


 思いたくなかったが実際その通りのようだ。


 情報が警察内部から外部に筒抜けなのである。
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