本庁
 美和子が何かを隠してると思いながらも、山口は安川と一緒に六本木で起きた大伴良三の撲殺に関して、六本木南署に自首してきたマル被の本松要一郎を取り調べるため、署へと急行した。


 合同捜査本部はかなりの数の警官が集まるものと思われた。


 元警察官が殺害されたヤマだったからか、警察は入念な捜査を行うものと考えられる。


 すでに都内の全所轄署に応援要請がなされ、わずかな手掛かりでも見つかれば、本庁か捜査本部に連絡が行くよう、手配がなされていた。


 六本木へと向かうパトカーの中で山口は考え続けていた。


“害者を撲殺したのは誰か……?”


 殴打の際に使われたと思われる鉄製らしい鈍器が発見されれば、すぐに鑑識へと回すのだが……。


 そしてハンドルを握りながら、山口はふっと思い付いた。


 今回の大伴良三殺害の一件は、実は吉田栄輔の愛人で、麻取に見張られている国谷由季子が画策したものなんじゃないかと。


 国谷は愛人が故国に違法送金を繰り返し、自分自身も大麻所持で警察に挙げられ、今度はピーズファイルについて何かを知っているものと思われる大伴を殺害した。
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