本庁
 大伴良三がピーズファイル作成に際して、河東元巡査部長と協力した痕跡がどこかに残っているんじゃないとかすら考えられた。


 これは論理の飛躍なのかもしれないが、今現在一番怪しいのは国谷由季子である。


 国谷がクスリの常習犯だったとすれば、当然ながら麻取の見張りもより強固となるだろう。


 そして国谷自身がピーズファイルに関して、何かを知っているものと思われた。


 民自党で汚職事件を起こし、警察庁長官の職を辞して、議員引退にまで追い込まれた元村栄次郎と、吉田栄輔・国谷由季子が実際に裏で繋がっていることを……。


 政界と警察社会、それに裏で黒い札束が絶えず送られ続ける不気味な枢軸国家――、三者に何か接点や共通点があるものと思われた。


 捜査線上に浮上してきた本松は何かを知っているに違いない。


 山口と安川が六本木南署の合同捜査本部に着いたのは、署を出て一時間弱ぐらい経ってだった。


 通行証を使えば高速は乗り放題なのだが、首都高じゃなくて一般道を通っても、新宿から六本木までだと、わずかな時間で着く。


 山口も安川も探っていた。
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