本庁
力を奪われていくのを感じているようだった。


 そして東山が一通り捜査報告をし終えると、中央席にいる宮島が、


「大伴さんを殺害した本松を操っているのは吉田栄輔の愛人の国谷由季子だ。一刻も早く国谷を挙げろ」


 と言って、重ねるように、


「これから今回の高城和哉さん殺害事件に端を発した一連の事件の総仕上げをする。皆、覚悟は出来てると思う。海上保安庁に連絡して、北への臨検を強化しろ。あと、吉田と国谷を発見次第逮捕。いいな?それじゃ散会」


 と言い、席から立ち上がって、すぐに署の最上階にある管理官室へと向かった。


 宮島は今回の事件に関して、所轄の刑事の腕を見てみたいらしい。


 それは捜査本部内にいる刑事たちの誰もが頷けた。


 若い管理官が一体何を考えているのかぐらい、長年警察社会にいる山口も安川も分かっていたし、まだまだ若い東山も薄々勘付いているようだ。


「捜査は明日だ。今日は帰ろう」


 山口がそう言い、席を立って、フロア出入り口へと向かう。
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