本庁
山口はタバコを吸い続ける。


 四年前「政治改革」という響きのいい謳い文句を散々吐き続けて、民自党を総選挙で圧勝させ、その後、滅茶苦茶なことをし続けた首相もいたのだし、その当時でも改革は全くと言っていいほどされていなかった。


 国民から無駄な税金を巻き上げて、自分たちだけは美味い汁を吸い続け、私腹を肥やすだけの政治家たちも仲間内では暗黙裡に納得し合っていたのだ。


 その典型例がピーズファイルである。


 察庁内にプールされていた裏金の一覧を記したピーズファイルに、長年蓋がされていたのは警察官僚を始め、国を貶(おとし)めた政治家たちがし続けた負の遺産とも言える。


 河東が暴いた九十億円の裏金はどこかしらで使われてしまい、挙句警察の腐敗へと繋がった。


 山口も安川もその点は納得している。


 当時の警察上層部の人間たちがどんなことを仕出かしたのかを……。


 そして決死の捜査で、犯人サイドによって爆弾搭載のトラックに誘導され、爆殺された美和子の父親のように殉職した警官までいることを……。


 山口たちは大伴良三殺しのホンボシとして、改めて国谷由季子の逮捕状を取り、追って
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