本庁
第15章
     15
 六本木南署から本庁へと身柄を移された本松要一郎は、庁内の十五階にある取調室で、担当刑事による事情聴取をされた。


「大伴良三さんが殺害された事件の黒幕は誰だ?」


 担当の警視庁捜査一課巡査部長の堤勇一はそう言って、本松を睨み付けた。


 その形相(ぎょうそう)にはまるで悪魔のような凄みすら感じ取れる。


 そして堤が畳み掛けるようにして、


「芝浦ふ頭で凶器が発見されて、それに付いて残ってた指紋もDNA鑑定の結果、お前のものと一致したよ。お前がヤったんだろ?」


 と訊いた。


「……」


「黙ったままじゃ分からんな。一言でもいいから、話してくれ」


「……」


「もう立件する手続きは出来てる。お前を裏で操ってるのは誰だ?吉田か?それとも察庁の人間か?」

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