王様ゲーム〜俺とお嬢さんだけの甘く危ない罰ゲーム〜
それから、あたし達は勝負した。もちろんあたしはクロールでだ。



でも、先生は何も言わないでくれた。その優しさが嬉しくて、負けてしまっても嬉しいって思ってしまう。



あたしの頭の中は、その事しかなくて、肝心のキスの事はすっかり忘れてしまっていたのだ。



プールから、上がろうとしたあたしの手を掴み先生の方に向かされる。



「お嬢さん、よーく思い出してみて」



え?



ドキドキと高鳴る鼓動。先生が真剣な表情であたしだけを見つめる。



先生の瞳を見つめるだけで、精一杯で頭が真っ白になってしまう。



いつもは、先生を見上げるあたしだけど、少し今のあたしは高い。



プールサイドに座り込むように、して手を掴まられるあたしと、まだプールから上がっていない先生は、あたしの方がほんの少しだけ高い。


同じ目線の先生は、いつもと違う表情をしているように見え、掴まれていない手で胸を押さえる。



静まれ!あたしの鼓動!



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