王様ゲーム〜俺とお嬢さんだけの甘く危ない罰ゲーム〜
あたしが魔法使いなら、こんな子を見逃さないのに!ヘルプミー!魔法使いさん!



なんて思っても、意味はない。
居る訳じゃないから。魔法使いなんて……



胸の鼓動を聞かれない為に、手で隠してると、その手も掴まれる。



先生は、あたしの両手を簡単に自分の片手だけで掴む。


それだけ、先生の手とあたしの手は大きさが違うんだなと改めて思う。



「せ……んせい」



「どうかした?お嬢さん」



先生は、あたしが緊張してるってすぐに分かったのか妖しい笑みを浮かべる。



女子を虜にするような甘い笑顔。先生の髪から滴がタレいつもの倍色気を感じる。



そんな笑顔を向けられて、ますますあたしは鼓動が鳴り止まない。



まるで、除夜の鐘のように長い間鳴り止まない。



でも、少し除夜の鐘と違うのは、あたしがずっと先生にだけ鼓動が反応する事。


除夜の鐘は、誰でも叩けば音がするから。除夜の鐘は、あるいみナンパな人なのかもしれない。



誰にでも愛想が良い……あたしは、先生だけだもん。あたしの除夜(鼓動)の鐘を鳴らすのは先生の行動。



先生の仕草。先生の全部……



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