桐壷~源氏物語~
第二章
私達は、巡り会う為に生まれて来たのだろうか。
帝は時折、こんな事を考える。
帝がじっと考え深げに桐壺更衣を見つめる為、彼女は小首をかしげて彼を見上げた。
ああ、どうしてこんなに小さな動作でさえも、彼女が愛しく思えてしまうのだろうか。
「帝…?」
一体、何をお考えになられているのかしら。
彼は時折、この様に何かを考えながらじっと私を見つめる時がある。
その瞳が「愛しい」と仰っているような気がして、私はいつも、こんな安らぎがあったなんて、と驚かされるのだった。
そして、とくとくと脈を打つ胸。
彼と一緒に居ると、胸は早鐘を打ち、頬は上気していくのが分かる。