桐壷~源氏物語~


「お可愛らしい所もあるのですね」と囁くと、二人はそのまま床に倒れ込んだのだった。

この時の私はまだ、帝と両想いになれた幸福、安らぎにすっかり身を預けていた。

しかし、幸せはそう長くは続かないことを、やがて知る事になる。






「全く、まばゆいばかりの御寵愛よ」


「唐の国では、女性との問題からやがては国が乱れたと言う。我が国は本当に大丈夫なのか」

などと人々が噂を立てる様になった。

帝は、まるで桐壺更衣一人しかいないかの様に、毎晩彼女を召し出すのだった。



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