桐壷~源氏物語~
「御覧になって?」
「おお、汚い事。近くを歩かないで欲しいわ」
「良い気味ね。これからどうするつもりかしら」
私は、衝撃の余り、声が出なくなってしまった。
「ひっ、姫様、いかが致しましょう」
着物を汚した女房の中には、泣き出してしまう者も居る。
私は、数回深呼吸をしてから、やっとの事で言葉を口にした。
「仕方がありません。戻る事にしましょう」
私に仕えている者達は全員、ひどく心に打撃を受けている様だった。