桐壷~源氏物語~




「御覧になって?」


「おお、汚い事。近くを歩かないで欲しいわ」


「良い気味ね。これからどうするつもりかしら」


私は、衝撃の余り、声が出なくなってしまった。


「ひっ、姫様、いかが致しましょう」


着物を汚した女房の中には、泣き出してしまう者も居る。

私は、数回深呼吸をしてから、やっとの事で言葉を口にした。


「仕方がありません。戻る事にしましょう」


私に仕えている者達は全員、ひどく心に打撃を受けている様だった。

< 39 / 42 >

この作品をシェア

pagetop