猫と僕と
ボンは凜の足に体を擦りつけて甘え出した。



「ボンちゃん…」

「凜、ボンは滅多な事がない限り甘えたりしないんだ。ボンが心を許すなんて、凜はやっぱりいい子なんだね。」

「そんな…」




凜はボンを撫でた。優しく優しく撫でた。



だから、僕も凜の頭を優しく愛おしく撫でた。




もう2人には時間がない気がしたから。




もう、長くはない気がしたから。




目一杯の愛を込めて撫でた。



凜はこちらを見ることもなく僕に身を委ねていた。



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