猫と僕と
ハッ!!



我に返った僕は少し真面目な顔をして倉本さんを見た。




「これ…つまらない物ですが…」



今時こんなアパートで、ご近所周りをしてくる人はいない。


律義な人だなと思いながら、受け取ると倉本さんはお辞儀をして自分の部屋に入って行った。




リビングに座って箱を無造作に開けると、いかにも彼女が選びそうな花柄のタオルが入っていた。




「まっ、あって困る物じゃないしいっか」



そのタオルをキッチンにかけると、余りにも汚い自分の部屋に余りにも可愛いタオルが居心地悪そうにかかる様が、妙に笑えた。



「別にいいじゃねぇか、なっ?ボン。」

「にゃあ」



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