猫と僕と
隣で僕たちを見てニヤニヤ笑うワッタに「お前もだよ」と睨み倒して、今日は解散した。




寝る前に思い出した。

あの花がパッと開いた様な笑顔。

オルゴールの音色の様な声。

柔らかそうなあの髪。



凜…ちゃんか。本当にもし、あんな人が彼女だったら…




―カリカリ…



窓を引っ掻く音で僕は体を起こす。

ボンは他人が家にいると決まって帰って来ない。そして、どこかで監視していたみたいにみんながいなくなると部屋に戻って来るんだ。

「ボン…もしも凜ちゃんと僕がさ……」そんな妄想をしながら眠りについた。








もちろん、次の日から倉本さんとは運がいいのか悪いのか会う事もなく、また平凡な日々を送るのだった。




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