猫と僕と
「で、何話してたっけ?」

「列車事故の話し?」

「あぁ、そうだ。僕さ、あんまり今まで他人に同情とかしてこなかった気がするんだ。」

「うん」

「なのにさ、あんな風に苦しいくらいの感情で他人を見たのは初めてだった。そんな豊かな心で人を見られるようになったのって、凜がいてくれたから……」




突然、凜は目に涙を浮かべ始めた。




「凜、辛い事全部話しなよ。」







膝で眠るボンが尻尾をパタパタさせながら、丸くなる。そんなボンを見ながら僕は優しくボンを撫でた。









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