准教授 高野先生の個人授業
寛行さんは、きっぱり言い切った私を、圧倒されたように、あんぐり見ていた
「わんこそば、ね…」
「そうです、わんこそばです。あの、誤解しないで欲しいんですけど…」
「ん?」
「わんこそばは好きです」
何言ってんだ、私は…
はりきって主張してみたものの、あとからちょっとマズったかなって気もしていた
「わかってるよ。数が多くて威張れるものの例えなんだよね」
「そうです、そうなんです」
結局なんだか、寛行さんにフォローされているという始末…
「丼飯一杯かぁ」
寛行さんは独り言のようにぽつりと呟くと、ごろんと仰向けになり天井を仰いだ
それから、およそ一拍間を置いて…
「いいね、丼飯一杯。うん、すごくいい」
そして、それはそれは楽しそうに高らかに笑った