准教授 高野先生の個人授業
大仏マスクの話といい、今夜の彼女も絶好調?の勢いだ。
「うた、歌います」
「うた?」
「うた、です」
これまで和歌や短歌の詠むほうの歌はあったけど、音楽の歌は初めてだ。
「輪唱で“かえるのうた”、いきますよ」
思いがけない彼女の台詞に、作業をする手を一瞬止めて、ちらりと後ろを振り返る。
「輪唱???」
「そうです、輪唱です」
そんなの小学生(しかも低学年?)以来だ。
「私が先に歌い始めるので、寛行さんは追っかけてください」
提案ではなく決定事項の“かえるのうた”の輪唱に、僕が異論を唱える余地は無い。
「いいですね?」
「はいはい」
ところで・・・あの歌の中で蛙ってどんなふうに鳴くんだっけ???