准教授 高野先生の個人授業

愛しい彼女と絡み合うように抱き合って、改めて思う。

やっぱりどう考えても大仏マスクは却下だ。

「詩織ちゃん、大仏マスクは諦めてね」

「えーっ」

「マスク被ったらくんくんできないよ?」

「う゛っ、それは困るかも・・・」

「でしょ?」

だって、大仏マスクなんて被ったら――

君の可愛い表情が見えなくなって悲しいよ。

君の素敵な歌声が届かなくって淋しいよ。

「ハイ!大仏マスクは忘れること!」

「うーん・・・」

まだちょっと納得しかねているようだけど、だいたい懐柔できたかな?

「かわりにさ、僕が頑張ってお念仏でも唱えてあげるから我慢しなよ。ねっ?」

「それ、なんかやだ・・・」

「じゃあ、何ならいい?」

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