だってあの時君が一番にその星をみつけたから

 幸せな誕生日なんて一度もなかったなんて言ったら嘘になる。

 アタシがこんなになったのは、14の時だったから、それまでは、にこにこしたいわゆるクラスの人気者タイプだった。


「星南もかわったよねぇ」


 いつだったか、小さいころから仲のいいタケに言われたことがある。

 タケは変わってしまったアタシに、何も変わらず接してくれるクリーンな心を持っている奴だ。

 前本人に直接そう伝えたら、


「死ね」


 と顔を赤くして照れていた。

 タケはいいやつだ。




 午後11時36分。

 11秒。

 1月のこの時間は、ひどく冷える。

 おまけに雪だ。
 
 初雪だ。


―――なんでこんな日に呼び出すんだよ。


 金色に染まった髪をかきあげる。

 肩近くまで伸びた髪が今は、首を冷気からまもってくれてありがたい。


 空を見上げると、霞んだ空が見えた。星は見えない。

 15の誕生日、タケと遊んだ。

 その時に「空が好きだ」と告げたら、


「本当のヤンキーはもっと生臭いものが好きっていうイメージあんだけどな」


 とちょっと優しく笑っていた。


 空は近く、今にも落ちてきそうだった。星は見えない。

 白い雪がほほにあたる。

 いくつかアタシの目を狙って降ってくるから、首も痛いし、上をみるのをやめた。


 と同時に、マヌケな声が聞こえてきた。
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