僕の白雪姫
姫がゆっくりと
俺に近付いてきた。
俺は身動きがとれず
ただただ呆然と
姫が近付いてくるのを
見ているしかできなかった。
姫が俺の雨で濡れた服の裾を緩く掴んでくる。
ビクッ…
体が縦に動いた。
「な…なんで?」
俺は姫の顔を見ないで
まっすぐにフェンスの方をじっと見ているしか出来なかった。
姫の小さな手が俺の手にあたる。
冷たくて濡れていた。
いつからここにいたの?
身体は冷えきっていて…震えていて……何処と無く悲しい感じがした。
「約束したでしょ?ずっと待ってるって……連時くんが来るまで毎日毎日……待ってたんだよ……?」
喋るごとにだんだん声が
震えていくのがわかった。俺はやっと姫の顔を見ることが出来た。
ドキンッ……
姫の瞳には、
涙がいっぱいたまっていて今にも泣きそうな顔をして俺を強い眼差しで見ている。