ほどよい愛




建築現場に入ると、何故か気持ちが落ち着いてくる。
図面でしか見えなかった家が少しずつ形になって現れてくると、これからこの家で過ごしていく家族の幸せが感じられる。

その幸せが大きなものになるように、途切れる事がないように力を出すのが俺の天職だと最近気付いた。

途切れてしまった幸せは、心も途切れてつなぎあわせるのにはかなりの時間と精神力がいる。

つなぎあわさった幸せ…。

俺にとっては葵との出会い。

初めて声をかけた時、俺の模型に真剣に見入っていて戸惑ってしまった。

< 105 / 302 >

この作品をシェア

pagetop