ほどよい愛
葵を手元に置く日々が始まって…同じく始まった心の葛藤とうまく折り合いをつける事ができずにいたけれど。

俺の心はもう、とっくに葵にしか埋められないスペースが用意されていた。

「…いい庭になるな」

自分が描いた図面を見ながら声にすると、不思議と本当にそうなる気がする。

温かく幸せな庭で過ごす笑顔いっぱいの家族。
図面の向こうにあるその様子を思い浮かべて口にする。

口にしなければ実現しない想い。

葵…俺は…。

心の中で、つぶやくと今すぐにでも叶えたい願いが叶う気がした。
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