ほどよい愛
自分の部屋に戻る気になれなくて、会社を出た後近くのカフェでコーヒーを飲みながらぼんやりしていた。

しばらく外の景色を見たあと、溜息をついてカバンから一冊の雑誌を取り出した。
会社のロッカーに入れてあった雑誌。
ページのめくれ具合で読み込んでいると一目でわかる。
建築業界の雑誌で、表紙を今より笑顔が若い恭汰が飾っている。

六年前の受賞式の写真。
幸せそう…。
少し離れた会場の片隅から私もこの様子を見ていた。
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