ほどよい愛
ふと気付くと、1時間ほどぼんやりしていた。

冷めたコーヒーを飲み干して席を立とうとした時、カバンに入れてある携帯が鳴った。

見ると、久しぶりの名前。

「透!久しぶりだね。今イタリアって何時?」

『う~ん何時だっけ…。とりあえず日本時間は午後7時過ぎだけど』

「…日本時間?」

『そ。この時期の日本はやっぱ蒸し暑いな』

「帰って来てるの?」

『…ただいま。で、今葵の会社の下にいてるんだけど仕事終わった?』

「あ、もう会社出てて。でも近くにいるから待ってて!すぐに行く」

『了解。逃げないから慌てず来いよ』

「わかった」

伝票を取る手が興奮で少し震えてしまう。

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