ほどよい愛
カフェから会社までは走って一分くらいなのに、走っても走ってもなかなか着かないくらいに遠く感じた。
最後の角を曲がって会社のビルを見ると、スーツケースの上に腰掛けている懐かしい顔。

「透!」

めったに出さない大きな声を出すと、透の視線が私をとらえた。

立ち上がった透に向かって、走ってきた勢いそのままに抱き付いてしまう。

あぁ透の温かさ……。ホッとする。
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