ほどよい愛
「おい。お前は小学生かよ」

くすくす笑う声が、抱き付いた透の胸越しに聞こえてくる。

「…お帰り!イタリアの仕事は終わったの?」

「いや。こっちでの用が済んで…そうだな、2週間くらいで戻る」

「え~。いつになったらこっちに戻るの?もう一年半は経つじゃない」

透の腕の中で思わず文句を言ってみる。

…まぁ、やんわりとした見せかけの愛想の良さで自分の意思は絶対に曲げない透だから、私が何を言っても笑って流すだけなんだろうけど…。
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