ほどよい愛
そう思いながら見ると、やっぱり。

軽く笑いながら私の頭を撫でている。

「現場研修で色々勉強できて、給料までもらえて。俺ってラッキーだよな」

そう、何のためらいもなく言う透は、会えなかった時間の分だけ成長していて、大人になっていた。

双子の兄ながら、格好よく見える。

大学を卒業して入った設計事務所からイタリアに研修も兼ねて派遣されている透。

行ったきりで今まで帰って来なかったのに、何かあったのかな?

そう思いながら透の腕から抜け出すと、透に頬をぎゅっとされた。

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