ほどよい愛
「何してるんだ?」

「え!?」

我にかえると、目の前にはお風呂から上がった恭汰。

「ビール、取りたいんだけど」

「ご、ごめん」

冷蔵庫の前でぼんやり考えこんでいた私。

慌てて冷蔵庫から缶ビールを出して渡す。

渡した後も、じっと私を見ている恭汰。

「…?どうしたの?」

「いや」

そう言って笑うと、恭汰の顔が近付いてきて軽く触れ合う唇。

「兄貴と話したい事あったんじゃないのか?」

「うん。なんで突然帰って来たのかもわかんないし、向こうの事も聞きたいけど…」

そこで思わず溜息が出る。

「昔からそうだけど、かなりのマイペースで…。イタリア行きを話してくれたのも出発の二日前だし」

俯いて嘆く私の頭を撫でながら、恭汰はくくっと笑ってる。
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